2010年1月21日 (木)

本『神去なあなあ日常』

322482701_2  『風が強く吹いている』で、箱根駅伝にかける若者たちの姿を生き生きと描いた、三浦しをんの新作『神去なあなあ日常』が面白い。

題材としては珍しい林業の世界を、分けも分からずその世界に放り込まれてしまった若者が、驚き・感動・憧れ・感謝・仲間への思いを通して成長していく姿を、時には笑いを、時にはホロリとさせつつ描いている。

スラスラと読めてしまう手軽さの中に、ほんの少し、何かを残してくれるこの作家が私は好きだ。

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2009年12月10日 (木)

本『ファミリーツリー』

Photo食堂かたつむり』の小川糸の新作『ファミリーツリー』を読んだbook

前2作がとても良かったので、新作を心待ちにしていたのだ。

今回は穂高の自然の中で育ったリュウという男の子の小学生時代から成人するまでの成長物語だ。

年子の姉蔦子と、夏休みだけ穂高にやってくるリリーという従姉叔母にあたる姉と同学年の少女と共に過ごす穂高の自然の美しさが目に浮かぶようだ。

ひいばあちゃんの菊さんの作る美味しい料理の数々、捨て犬dog海との悲しい別れ。

幼馴染であるリリーへの淡い恋heart04

ひとりひとりが生き生きと描かれていて、人はひとりでは生きていけないんだ。たくさんの周りの人々がいるからこそ生きていける、生かされているんだなと実感する話。

穂高の大地に二本の足でしっかと立っているという菊さんの生き方がいい。

この環境の中で育っていくリュウがうらやましい。

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2009年11月23日 (月)

本『ニサッタ、ニサッタ』

21572311 乃南アサの新作bookニサッタ、ニサッタ』を読んだ。

この『ニサッタ』とは、アイヌ語で『明日』を意味する言葉だそうだ。

物語は北海道知床出身の若者片貝耕平が、東京の大学を卒業したあと、職を転々として、ネットカフェで寝泊まりするような状態まで落ちるが、住み込みの新聞販売店へとたどり着く。

そこには、様々な過去を引きずった人たちがいた。沖縄からやってきた杏菜という少女も。

一生懸命生きていても、うまく回らない世の中。なんでいつもこうなっちゃうのか…?

明日への希望を見出せない中、ある事件をきっかけに、耕平は故郷へ帰る。

しかしそこでも失敗を繰り返してしまう。

正義感も優しさもあって、そこそこいいやつなのに、不甲斐なくも詰めの甘さがじゃまをする。

もう生きていたくない…

けれど、彼の周りにも、厳しい条件や苦難のなかで懸命に生きようとしている人々がいる。

今日を生きることが明日につながる。死なないで。

…というメッセージだ。

無言で彼の手を握るおばあちゃんの手の温かさがじんわりと胸に沁みる。confident

物語の最後には、ようやく耕平の明日が見えてきてホッとした。┐( ̄ヘ ̄)┌ フゥゥ~

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2009年11月20日 (金)

雑誌『ノジュール』

Index_cover1 JTBパブリッシングが発行している通販雑誌bookに『ノジュール』というのがある。

新聞広告を何度も目にしていて、ずっと気になってはいたのだが、なんせ書店に置いていないので、手にする機会がない。

特集記事にはとても興味深いものが多く、11月号は”ひとり旅”だったので、とうとう思い切って電話をして1年間の定期購読を契約してしまった。

第1回目の配本で11月号が今日届いた。

読み始めてみれば、特別目新しい記事というほどではないが、写真もたくさんあってきれい。

コンセプトが『50代からの自分ライフを格好よく!』ということだから、これからも興味深い特集を組んでくれることを期待したい。

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2009年11月 4日 (水)

本『同期』

21566711警察小説が面白い。book

今回読んだのは、今野敏『同期

これまで、警察小説と言えば、『半落ち』以来読み続けている横山秀夫 、女性刑事音道が活躍するシリーズの乃南アサなど、決まった作家のものばかりだったが、今回の今野敏も実にいい。

400ページ近い長編だが、一気に読んでしまった。

警視庁の捜査一課の刑事になった宇田川と公安に所属する蘇我は、同期生で親しくしていた。

ある日、蘇我が突然懲戒免職になり、その後行方不明になったとことを知る。

『何故?』

宇田川は、その真相を調べ始めるが、なぜか上層部からと思われる妨害が入る。

ヤクザの刺殺事件の捜査本部に組み込まれた宇田川は、事件を追ううちに蘇我の失踪が絡んでいるのではないかと思い始める。そんな折り、あろうことか蘇我が容疑者に…

何としても同期の友を助けたいという熱い思いが、事件を解明へと導くのだが、先輩刑事・公安・組織暴力担当・政治家…等など警察組織の壁が立ちはだかる。

今野敏の著作は、過去に1・2冊読んだように思うけれど、コレという記憶がない。

でも、この『同期』は秀作だと思う。

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2009年11月 1日 (日)

本『COW HOUSE』&『るり姉』

591109691 試験が終わって以来、すっかりリラックスしてのんびりムードです。

試験前も、読書はずっと続けていたけれど、何となくコソコソと自分に言い訳しつつという感じだったので、今週末ほど、何の気兼ねもなく朝から晩まで読書に没頭出来たのは、本当に久しぶりのような気がする。

さて、今週末に読んだのは、小路幸也の『COW HOUSE』と、椰月美智子の『るり姉』の2冊。

小路幸也の作品は、前にひとつくらい読んだ記憶があったけど、椰月美智子の作品は、この『るり姉』が初めてだ。575236601_2

どちらも、期待以上に面白くて、一気に読んでしまった。

暖かくて、優しくて…

こういうハートウォーミングな話というのは、読む時と場所を選ばないし、心からリラックスして読めるのがいい。

読み終わったあとも、爽やかな満足感に充たされて、気持ちのいい時間が続くのがいい。

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2009年10月20日 (火)

本『新参者』

21577111 東野圭吾の新作『新参者』を読んだ。

日本橋で一人暮らしの中年女性が殺された。

何故?誰が?

生きていた時の彼女は、何を思い、どんな生活をしていたのか?

この街に着任したばかりの刑事・加賀恭一郎は、ひたすら街を歩き回りながら、被害者の身に何が起きていたのか?の謎に迫る。

日本橋という江戸の面影が残る街のあちこちで見つけた人情のかけらから、もう語ることも出来なくなった被害者の思いが見えてくる…

最終的には犯人逮捕となるのだが、作者の人や街・モノを見る目の温かさが感じられて、読後は爽やかな感動に包まれる。

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2009年10月11日 (日)

本『これでよろしくて?』

8171 川上弘美の新作『これでよろしくて?』が面白い。

38歳、夫とふたりの生活をゆるゆると過ごしている菜月は、ある偶然から『これでよろしくて?同好会』という奇妙な会に参加することになる。

菜月のかつての恋人の母親である土井母、3回の結婚経験者八戸みずほ、結婚正社員の妹尾香子、独身の立木雛子らと交わす取り留めのない、けれど世の中をすっぱり切り捨てる歯に衣着せぬ会話に、ぷッと笑わされること多々あり。( ´艸`)プププ

夫婦のマンションに突然転がり込んできた姑に夫婦仲もギクシャクして…

心に思っていることがなかなか声に出せない。家族だから?家族なのに?

奇妙な同好会に、初めは戸惑う菜月だったが、徐々に馴染んで、少しづつ心の澱を吐き出すようになる。

それぞれが勝手な話をしているようでいて、全体に漂う『いいのよ、それでいいのよ』と認め包み込むような空気がいい。happy01

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2009年9月24日 (木)

本『神様のカルテ』

41nb6ls7e1l_sl160_aa115_1 今年のシルバーウィークを総括すれば、まさに読書bookウィークだった。

仮想儀礼』(篠田節子)に始まり、『あるキング』(伊坂幸太郎)『フリーター、家を買う』(有川浩)『終の住処』(磯崎憲一郎・芥川賞受賞作)と来て、最後は夏川草介の『神様のカルテ

これは、小学館文庫小説賞の受賞作なのだが、著者のデビュー作でもある。

信州の中堅病院hospitalに勤める内科医、栗原一止。
医師不足の現場で、救急外来もこなし、何日も眠れない激務の日々だ。

ある日、母校の大学病院から誘いがかかる。

大学病院なら、最新医療を学べる。愛する妻と一緒にいられる時間が増える…

でも…

大病院から見放されたような末期患者と、精一杯向き合いたいとも思い悩む一止の背中を押したのは、ある高齢の末期がん患者だった。

個性豊かな面々。

こんな医者がかかりつけ医だったらいいなと思う。

救急患者の受け入れ場面では、一昨夜最終回を迎えたドラマ『救命病棟24時』を思い出した。

救命病棟…は、今季のドラマで私が唯一見続けたドラマだ。

最終回は、あれこれ詰め込み過ぎたきらいはあるが中々面白かった。

ここでの進藤先生、ドクターコトー、あるいは本『孤高のメス』の当麻先生、『白い巨塔』の里見医師…

温情派の医師って患者のよりどころだものね。

さて、作者の夏川草介は、主人公栗原と同じ信州の病院に勤める医師だという。

次はいったいどんな本を書いてくれるのだろうか?

思いがけなくお気に入りの新しい作家に巡り合えるのはうれしい。ヽ(´▽`)/

だから、読書ってやめられない。

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2009年9月21日 (月)

本『フリーター、家を買う』

連休3日め。

メガネeyeglassが合わず教科書がよく見えないから…という理由をこじつけて全く勉強していない私。

昨日夕方ようやく注文していたメガネが出来上がった。

もう言い訳は効かない。

教科書の字はよく見えないのに、好きな読書bookは出来るというのも変な話だけど、連休前半は読書三昧だった。

031566211 伊坂幸太郎の『あるキング』に続いて読んだのは、有川浩の『フリーター、家を買う

有川浩(ありかわひろ・女性です)は『三匹のおっさん』もとても面白かったけど、この『フリーター、家を買う』もとても面白かった。

今、波に乗っている作家の勢いを感じさせる。

2流大学を卒業して就職した先を3カ月であっさり退職してしまった誠治は、就職活動も思うようにいかず、アルバイトも転々として怠惰な生活を送っていた。

これまで甘えに甘えていた母が、近隣住民の度重なるイジメが原因で重度の鬱病にかかってしまったことで一念発起。

アルバイトから正社員へと道を切り開き、家を買って母の念願の引っ越しを叶えさせるという、家族の絆の再生でもあり、若者の自立の話でもある。

淡い恋もあり、周りの大人たちの優しい眼差しが暖かい。
会社では有能なのに家庭では鈍感でジコチューな父誠一も、姉亜矢子に”馬鹿親父”と罵倒されながらも、少しづつ変わっていく様子が微笑ましい。

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